お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
今……言おうかな。
せっかく想いが通じあったんだ。
曖昧な関係にはしたくないから、ちゃんと言おう。
「ねぇ、碧」
大きく息を吸って、声を出す。
「なんですか?」
「わたしと碧は付き合ってる……ってことでいいんでしょうか?」
聞くのに緊張して、なぜか敬語になってしまった。
まぁ、それでもちゃんと伝わればいいや……。
ドキドキしながら返事を待つと、「お嬢」と呼ばれて。
「俺と、付き合ってください」
その言葉を聞いて、心臓がドキドキと加速しだした。
「喜んで!」
「ありがとうございます」
碧は、嬉しそうに笑う。
これでわたしと碧は、彼氏と彼女……!
そういうことだよね!?
関係がはっきりすれば、嬉しくてついにやけてしまう。
……そうだ、わたしはもうひとつ碧に言わなくちゃいけないことがあるんだった。
これもちゃんと言わないと。
「碧、2人の時は茉白って呼んで……。敬語も使わないでほしい……」
ここ最近はたまに名前で呼んでもらえたり、彼は敬語なしで話す時もあるけど、やっぱりほとんどは“お嬢”呼びだし敬語を使われる。
付き合うのなら、どうしても敬語は嫌だった。