お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


……そうだ、会話!
仲良くなるために、もう少し話したい!


この時のために、昨日はいろいろな質問を考えおいた。
鈴宮さんのことを知って、仲良くなりたいから。


でも、その考えた質問は緊張のせいか頭が真っ白になってしまい、なにも思い出せない。


えーと、えーと……!
とりあえずなにか言わなきゃ!


「鈴宮さんっ、連絡先交換しない!?」


口から出た言葉。
言った後にすぐにやってくる後悔。


さすがに、それはまだ早い。
それくらいは自分でもわかる。


傘を貸して、返してもらって、お互いのことはまだなにも知らない。
少しでも仲良くなってから、連絡先とかは聞くべき。

それはわかっていたつもりなのに、わたしはなんてことを。
距離の詰め方を完璧に間違えた。


「あ、えと、急にごめ──」
「いいよー!!」


謝ろうとした時に、その声は元気な声にかき消された。


「鷹樹さん、ラインやってる?」


にこにこ笑顔で聞いてくる鈴宮さん。

わたしは耳を疑った。

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