魔法の恋の行方・キスって何?(シリーズ1 オルロフとエリーゼ)
<湖の畔の小屋・19時30分>

「・・・・・?」

妖精が、オルロフの背中を
バンバン叩いた。
「え?」

「キャハハハ!なに!これ?
おかしいっ!」
妖精は笑い転げている。

「あなたのハグは、金貨1枚払ってもいいわ。
なんか、すごぉく笑える!!」

ああ、なんて事だ!
妖精は酔っぱらっていた。
それも笑い上戸だった。

妖精は、
オルロフの腕をするりと抜けて、
薬草リキュールを瓶から
グイっと飲んだ。

「あーーバカみたい。
うじうじ悩んでいたなんて!」
「確かにあなたのハグは効くわ!
気分が良くなったし」

オルロフは頭を抱えた。
そうじゃない!・・・違うんだ!!

「なんか、フワフワする。
これって魔法かしら?」
妖精は瓶を抱え座った。

オルロフは椅子を引き寄せ、
妖精の正面に座った。

時間はある。めげるな!
先に進め!!
どうしてもこの妖精を
自分のものにしたい。

強い衝動と欲望・・

どうやら自分も
薬草リキュールで理性のタガが
緩んでいるようだ。

発情・・
そうだ、君の言った通りだ!

「エリーゼ、君とキスしたい・・」

「んーーんと、キスって何?」
妖精がご機嫌な顔で聞いた。

オルロフは、
思わず椅子から転げ落ちそうになった。

ああ、魔女の国では
<キス>の習慣がないのか・・・
確かにキスをしなくても、
子どもはつくれるし・・・・

オルロフは
薬草リキュールを飲み干した。

「その・・好きな相手とすることなんだが・・」
オルロフは自分で言って
<もうっ、なんだ?
この展開は・・>と葛藤していた。

妖精は手を伸ばせば、届く位置にいる。
引き寄せて唇を重ねれば・・

ただ、ここは魔女の国だ。
何が起こるかわからない。


< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop