不可侵ガール、夢幻
眩しい光にいても、黒い瞳になにも浮かべない代わりに首を傾げた美しい顔が、透けないまま口元だけ笑んでいる。
夜が終わらないまま、望めば在り続ける、なら。名前は。
「あんたの名前は、──」
「そうだね、そうだよ。きみは間違えたりしない。ずっと、そうだね、……正解。ああ今日は勝てると思っていたのに残念だよ。まあたのしかったけど」
ふふふ、と心底うれしそうな表情を浮かべたそいつは華やいだ星のきらめきを失うより先に、手を離して、出来た距離を埋めるように私を頭を抱きしめた。
ぐらりと目眩がする。冷たい手が私の髪を撫でて、また笑い声を零して、それで。
「この髪色、似合っているよ。赤、ふふ、随分反抗したものだね」
瞼が重くなる。でも、それでもって目を刺す疲れるほどの眩しい光が、諦めきれなくて。
「またね」
きっとまたを繰り返してしまう気がした。