不可侵ガール、夢幻
「それならいい、ここで。昼は私を殺すから」
光満ちて誰の為とか、学習補填の義務の次とか。結局一般に倣わなきゃ檻で疎外を浴びて独をつくりあげなきゃ立てない。
建てた関係性も恋愛感情もひとときの線香花火で世界は思ったより目まぐるしく単調な、思いを込めて多様性を死なせてる。
尊重、尊大、悪くない。誰も悪くなくても、自己を通せと言われても、このご時世の緩さでも確実な差があって、守らないと空気でリンチされて。
あなたも悪くないだろうけど、私も悪くない。って何なの、肯定及ぼして否定する言葉は溢れてる。
ほら今だって、誰も素顔を晒せない。
「ややこしいな。きみらは選んでその場にいるのに、慣れると横暴になって、本当は自分は嫌だったんだって被害被って俯いてしまうのだから」
呆れたように私の手から離れていくそいつは、弄ぶように空中を漂い、銀の髪を指で梳いた。
「ま、やむを得ずって言い訳に寄りかかってるきみはそうじゃないのかもしれないけれど、」
その言葉のひとつで星々が、きらめきが、そいつの後ろで盛大に流れ始めてしまうのを見て、苦しさが息を呑むほど消え失せて。
世界が思ったより目まぐるしく単調に、存在を示す。なのに、そいつは笑わなかった。
「夜だって、誰かを絶えさせている」
黒い、眼が。
「それがきみだった」
私じゃないあたしを見ていた。