不可侵ガール、夢幻
大切そうに語りかけていたかと思うとこちらに鋭い目線を向けてきたそいつは、本気で光を大切にしている様子。が、何かちょっと、意外だったのだと思う。
思い切り吹き出してしまって慌てて口元を手で覆った。それにすぐさまわかっているのか、と手を引っ張られてまたわらった。
ああだって、この子は。
冷たい筈なのに。
「いくらきみでもね、やっていいことと悪いことがあるよ。この子はぼくの友なのだから大切にしてくれ」
溜め息をつきながら手のひらの星をふわりと浮かせたその仕草で、やっぱり冷たいなんて思えなくて、くやしくなった。何度も同じ価値観で一人を見つめてしまうのが嫌なのに、はじめて会う度思ってしまう確信があった。
それで、今日も漂っていくのだと光の雨と一緒に落ちながら思った。
「ねえ、」
夜が、光で満ちて眩しい。
「……しかたないね、きみは。でもやっと笑った。それじゃあもうすぐ夜がお休みだね」
「夜が、お休み?」
「そうだよ。夜が長いけど、望めば見れるけど、そろそろお暇も必要だろう」
眩しい。
「帰ったら怒られるかな、今日は私なにも言ってないの」
「きっと怒られてきみはまた何かを憎んでまた立ち上がる筈だよ。諦めが悪い、ねぇ」
「ああそれならまた私は、あんたの名前を探さなきゃいけなくなるのね」
「名前?」
眩しい、のに。