双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
『一生に一度の恋だった』
「星奈……」

 愛しそうに私の名前を呼びながら、優しい愛撫を繰り返す。

 何度も身体を重ね、大好きな人に抱かれる幸せを知ってしまった。それなのに、こうして触れることができるのは今夜が最後だなんて……。

「優星君、ギュッとして」

 手を伸ばして、抱きしめてとお願いをする。すると彼は目を細めた。

「ん、これでいい?」

 逞しい腕に抱きしめられて胸がきゅんとなる。

「うん」

 覚えていたいの、優星君のぬくもりをすべて。

 静かな室内に響く互いの息遣いとベッドが軋む音。大好きな人とひとつになったまま、時間が止まってしまえばいいのに。そんな夢みたいなことさえ願ってしまう。

 好きで、大好きで、ずっと彼が運命の人だと思っていた。でも違ったんだ。だって私と優星君の未来が重なることはないのだから。

 彼と会えるのは今日で最後。もう二度と会うことはない人。そう思うと悲しくてつらくて、涙がこぼれ落ちた。
 そっと瞼を閉じると鮮明に思い出す。彼と出会った日から恋人になるまでの日々を。

*  *  *

 都内のオフィス街の一角にあるオープンカフェ。

 外のテラス席にはお昼時となれば、多くのビジネスマンやOLたちで席が埋まる。大学時代に友達と訪れて以来、カリカリのベーグルサンドやふわふわのパンケーキの虜となった。中でもバリスタが淹れた珈琲が本当においしくて、何度も通ううちに自分でも美味しい珈琲を淹れてみたくなった。
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