双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 大学で出会い、卒業してもこうして同じ職場で働くことができて、なにかと気にかけてくれる。公佳と出会うことができて私はラッキーだと思う。本当に今のままで私は十分幸せだ。

 チラッとカウンター席に目を向ければ、彼が真剣な表情で本を読んでいた。

 今日は仕事を持ち込んでいない様子。本が読み終わるまでいるのかな?

 時間が進むにつれ、店内のお客様も少なくなっていく。公佳は定時となり上がり、時刻は二十一時過ぎ。閉店時刻の二十二時まであと一時間を切った。

 もう少ししたら、店内にいるお客様にラストオーダーを聞きにいかなければならない。その中には彼もいる。

 物語も終盤のようで、本に集中している。いったいどんな話を読んでいるのだろうか。

 恋人になりたいと高望みしないから、せめてこうして店に来てくれた時くらいは気兼ねなく話せる関係になれたらいいな。店員とお客様の立場として。
 だったら公佳の言う通り、自分からアクションを起こさないといけないんだけど。

 テーブルを回って備品の補充をしていると、伝票を手にして彼が席を立った。

 すぐにレジに向かおうとしたが、すでに店長がレジにいて対応してくれた。ちょっぴり残念に思いながら、会計を済ませた彼を見送る。

 今度はいつ会えるのかな。きっとまたお店に来るよね。今週は二回来ちゃったから来週かな?
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