双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「パパだー!」

「パパがかえってきた!」

 私もバタバタと足音を立てて玄関に向かった双子の後を追う。廊下に出ると、三人の仲睦まじいやり取りが聞こえてきた。

「おかいりーパパ」

「ただいま。ふたりとも、いい子にしてたか?」

「うん、せいととせなね、いいこにしてたよ!」

 どうやらふたりとも優星君に抱っこされているようで、はしゃぎ声まで聞こえてくる。

 廊下を突き進み玄関を見ると、予想通り双子は優星君に抱き上げられていた。

「おかえりなさい」

「ただいま、星奈」

 すると優星君は双子を降ろして、両手を広げた。

「えっと……」

 足を止めてたじろぐ私に向かって優星君は、愉快そうに言う。

「ほら、星奈もおかえりのハグしてよ」

「ママもはやくー」

「パパにしてあげて」

 双子にも言われたら、恥ずかしくて無理とは言えそうにない。

 おずおずと足を進めて彼にピタリと寄り添うと、ギューッと抱きしめられた。

「おかえりなさい」

「うん、ただいま」

 大好きな人のぬくもりに触れるたびに胸がきゅんとして、同時に切なくもなるのはなぜだろうか。
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