双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 なにやってるのよ、私。すごい感じが悪かったよね。
 だけど時間を巻き戻せるわけもなく、ただ俯くことしかできない。少しして尾上さんが再び口を開いた。

「私がどうして来たのか、おわかりですよね?」

 顔を上げると、尾上さんは冷たい眼差しを向けていて背筋が凍る。
 ずっと向けられている敵意を感じるもの、言われなくたって予想はつく。

「単刀直入に言わせていただきます。早く優星君と別れてくれませんか?」

 予感は的中し、胸が苦しくなる。でも……。

「それはできません」

 怯むことなくはっきりと告げると、尾上さんは顔をしかめた。

「あなたは自分が優星君に見合うと思っているの?」

「それはっ……」

 言葉に詰まった私に対し、尾上さんは続けた。

「おばさまからあなたの存在を聞き、失礼ながら調べさせてもらったわ。ご実家の家業を継ぐことなく自分の好きな道に進んだそうね。でもその夢も道半ばで諦め、ご両親との縁を切ってまで優星君の子供を出産し、彼の帰国と合わせて子供の存在を打ち明けた。そもそも本当に優星君の子供なのかしら。彼の財産目当てで別の男性との間にできた子供じゃないの?」

「なにを言って……」
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