双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「だめだね、私。優星君だけじゃなく、両親からも双子と過ごせる貴重な時間を奪っちゃった」

「なにを言ってるんだ? それは星奈のせいじゃないからな」

 身体を離して大粒の涙を流す彼女の頬を包み込んだ。

「星奈がひとりで双子をここまで育ててくれたから、俺もご両親も星斗と星七に会うことができたんだ。俺のほうこそ星奈にこれまでひとりで子育てをさせてしまい、申し訳ないよ。……きっとご両親も俺と同じ気持ちだと思う」

「優星君……」

 俺の話を聞き、さらに星奈の瞳からは涙が溢れ出る。それを拭いながら続けた。

「星奈も俺も、自分を責めることをやめないか? さっきの星奈のように前向きに考えよう。せっかくご両親とのわだかまりもなくなり、これからはいつでも会えるようになったんだから」

「う、ん……そうだね」

 やっと笑顔になった星奈に胸を撫で下ろした。

「今日さ、星奈と星斗と星七、そしてご両親と過ごして、幸せってこういうことなんだと思ったんだ。家族で笑って過ごすのは当たり前のようで、実は一番難しいことだとも思った。現に俺たちがそうだろ?」

 星斗と星七が生まれてから、家族全員が揃ったことがない。
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