双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 次の日。いつもより早い時間に出社し、真っ直ぐに向かう場所は社長室。昨日の夜、無理を言って永山に今日の父のスケジュールを確認してもらったところ、朝一で開かれる会議に出席すると聞いた。

 時刻は八時前だが、父なら早くに出社して会議の資料に目を通しているだろう。案の定社長室に入ると父はすでに出社していて、資料に目を通しているところだった。

 連絡もなしに会いに来た俺に最初は驚いていたが、ただならぬ様子に気づいてなにかあったと察したようだ。
 そんな父に俺は事の経緯を話した。

「そうだったのか、尾上の娘さんが……。母さんにも困ったものだな、何度も説得しているんだが、一向に優星の気持ちを理解しようとしないんだ」

「そっか」

 そんな母を説得するのは、容易ではなさそうだ。

「本当は母さんにも理解してもらったうえで、星奈と実家に挨拶に行きたかったんだけど、美野里の話を聞いてそうもいっていられないと思って。……父さん、今週末にでも星奈と実家に行くから会ってくれないか? 母さんとふたりで」
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