双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 双子の写真を愛しそうに眺める父と実家で土曜日に会う約束を取り付け、社長室を後にした。


「優星君、本当に今日の恰好、変じゃないかな?」

「変なところなんてひとつもないよ」

「手土産はロールケーキでよかったの? やっぱりケーキにするべきだったんじゃない?」

「大丈夫、母さんの好物だって何度も言っただろ?」

「でも……」

 このやり取りを、朝起きてからこうして車で実家に向かっている間もずっとしている。

「星奈、昨夜はあまり眠れなかったんだろ? まだ着くまで時間がかかるから少し寝たらどうだ?」

「寝るなんて、そんな……! 寝られるわけがないよ」

 そうは言っても星奈のことが心配になる。もちろん緊張するなって言うほうが無理だと思うし、なにより俺と別れるよう言った母に会うんだ。緊張して当然だよな。いや、不安で眠れなかったのかもしれない。

「星奈」

「なに?」

「なにがあっても俺が守るから」

 少しでも安心させたくて、信号が赤に変わり車を停車させたところで彼女の手をギュッと握りしめた。
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