双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
『どうしたんだ? 優星』

「実はもう実家の前なんだ。さらに母さんと美野里、俺たちが車から降りてくるのを待っている。ここで待つわけにはいかなそうだからだから父さん、少しでも早く帰ってきてくれ」

『なんだって? わかった、できるだけ早く帰るから、星奈さんをしっかり守りなさい』

「わかってるよ」

 通話を切ったら星奈が「優星君」と不安そうに俺の手を握ってきた。

「大丈夫、俺がいるから」

 彼女を安心させるように言い、先に車から降りた。

「久しぶり、優星。待ってたのよ。ほら、美野里さんにご挨拶なさい」

 開口一番にそんなことを言ってきた母に、深いため息が漏れた。

「なにを言ってるんだよ、母さん。言ったよな? 今日は星奈を連れてくるって。そこにどうして美野里がいるんだ? 俺から挨拶? その前にふたりが星奈に謝るべきだ」

「謝るって、どうして私と美野里さんが?」

 声を荒らげる母につられ、感情の赴くままに気持ちを吐き出したいのを必死に抑える。そんなことをしたって、話が平行線に終わるだけだ。
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