双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「美野里、なぜ突然俺たちの家に来て、星奈にひどいことを言ったんだ？」

「それはっ……！」

　静かに尋ねると、美野里は言葉を詰まらせて俯いてしまった。

「黙ってちゃわからないだろ？　お前になんの権限があって星奈の父親の会社を脅すことを言った？　この際だからはっきりさせておく、婚約は母さんたちが勝手に決めたことであって、俺は美野里と結婚する意志はいっさいない」

　美野里も母親に言われて迷惑をしていて、俺と婚約破棄したいはずと思っていたが、そうではなかったようだ。最初からはっきり本人を前に言うべきだったんだ。

「そんな、ひどい優星君……っ」

　わっと大きな声を上げて泣き出した美野里の姿を見て胸が痛んだものの、星奈にしたことを考えれば同情の余地はない。

「私はずっと優星君のことが好きだった。だから婚約できた時はどんなに嬉しかったか。それなのに、他の女にうつつを抜かして妊娠までされて、私がどんなにつらかったかわかる？」

　目に涙をいっぱい溜めて訴えてきた美野里に、すかさず母も加勢した。

「美野里さんの言う通りよ、優星。この子はずっと優星だけを想ってきたの。美野里さん以上にあなたに見合う女性などいないのよ。あんな女とはさっさと手を切りなさい。優星の同意も得ずに勝手に産んだ子ですもの、慰謝料も支払う義務はないわ」