双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 俺に続いて頭を下げた星奈の肩をたまらず抱き寄せた。

 星奈だけはなにがあっても譲れない。もう二度と離れるなんて無理だ。
 その時、一台の車が駐車場に停まった。そして運転席から降りてきたのは父の秘書。そのまま後部座席に回ってドアを開けると、父が降りてきた。

「すまなかった、遅くなって」

「あなた……」

 父は俺たちの状況を見て察したのか、母に厳しい目を向けた。

「優星が選んだ女性だ。母さん、いい加減に認めてやりなさい。それと美野里さん」

 父に呼ばれ、美野里はおびえながらゆっくりと立ち上がった。

「は、い」

「尾上が怒っていたよ、勝手に社員にうちへの融資額を減らすよう指示させたことを。それと私もね。母さんとは違い、私は星奈さんとの結婚には賛成なんだ。あまりうちの嫁に意地悪をするなら、私も黙ってはいられない」

「……っ」

 優しい口調ながらも怒りを感じる、それは美野里もだろう。彼女の身体は小刻みに震えていた。

「それ以前に人を脅すような女性を、優星の嫁にするわけにはいかない。わかったら早く帰って尾上に謝りなさい」

 父にそう言われると、美野里はなにも言わずに逃げるように去っていった。
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