双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 初めて見るお義母さんの優しい顔に目が釘付けになる。そんな私の視線に気づいたのか、お義母さんは慌てて顔を引き締めた。

「それよりもあなたがここにいる間、双子はどうしているの? まさかふたりだけで留守番させているわけではないでしょうね」

「いいえ、実家の両親に預けてきました」

「ご実家って……あなた、ご両親に縁を切られたはずじゃ」

「今は以前と変わらない関係を築けています。双子もすっかり懐いているんです」

 私の話を聞き、お義母さんは目を見開いた後に「そう」とだけ呟いた。

 それ以上お義母さんが口を開くことはなかったけれど、私が帰ると言うまで席を立つことはなかった。
 四日目も訪れたらすぐに出てきてくれて、庭園でお茶をしようと誘ってくれた。

「立派なバラですね」

 庭先にはちょうどバラの花が咲き乱れていて、視線を奪われるほど美しかった。

「ありがとう。……私がバラを好きだと言ったら、すぐに庭師を呼んでバラを植えてくれたのよ」

 どこか嬉しそうに話すお義母さんからは、お義父さんに対する愛情が伝わってきて心が温かくなる。
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