双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 当然行く当てもなく、最初の数週間はホテル住まいをしながら引っ越し先を探していたところに母から連絡が入った。

 父の手前、表立って助けることはできない代わりに母の弟、私にとって叔父にあたる恩田(おんだ)明(あきら)と佳(か)代(よ)夫妻を頼るよう言われた。

明叔父さんは佳代さんとふたりで、栃木県の山間で牧場を経営している。それぞれ五十歳と四十九歳になるふたりは子供に恵まれず、姪の私を本当の娘のように可愛がってくれていた。

 大きくなるにつれて会う機会は減っていったけれど、よく電話ではやり取りをしていた。そんなふたりなら、必ず私の力になってくれるはずと母に言われ、私は藁にも縋る思いで明叔父さんに連絡をとったんだ。

 明叔父さんは口を挟むことなく最後まで私の話を聞いてくれて、「空き家になっている離れがあるから、身体ひとつでおいで」って言ってくれたんだ。

 身籠った私を佳代さんとともに温かく受け入れてくれて、出産までサポートしてくれた。

 出産後も慣れない子育てを一緒にしてくれて、星斗と星七を本当の孫のように溺愛している。

 家にあるおもちゃも、ほとんどがふたりにプレゼントされたものだ。星斗と星七もふたりを「じい」「ばあ」と呼んでいるから余計に可愛いのかも。
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