双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 どちらにしたって私と彼の未来は重なることはない。それならはっきりと嫌いだと告げ、こうして会いに来られるのは迷惑だと伝えるべきだ。私が彼の夢と幸せを邪魔しているのだから。

 でもそれができない。あと少しだけ家族四人で過ごしたい。星斗と星七にふたりの父親はどんなに素敵な人なのか知ってほしい。

 会うのはあと一回だけ、今週で最後……を繰り返し、結局は優星君に切り出せずにこうしてずるずると一ヵ月が過ぎようとしていた。
 一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、双子にもつらい思いをさせるだけなのに。
 楽しそうにじゃれ合う三人を見ていたら胸が痛み、ギュッと抑えた。

 複雑な気持ちで眺めていると、私の視線に気づいた優星君がふたりを抱っこしてこっちに歩み寄ってきた。

「おはよう、星奈。一週間ぶり」

「……うん」

 優しい眼差しを向けられると恥ずかしくなって、目を逸らしてしまう。すると優星君はクスリと笑った。

 私の目の前で足を止め、屈んで私の顔を覗き込んできた。

「星奈、おはよう」

 至近距離で見つめられると、よりいっそう恥ずかしい。だけど私がそう思えば思うほど優星君はどこか楽しげに笑う。

 それが悔しくて負けじと彼を見つめた。
< 87 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop