双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「それはそうかもしれないけどさー。でも私としては早く星奈にも幸せになってほしいの」

「ありがとう、公佳。でもね、私は今のままで十分幸せなの。こうして私のことを心配してくれる公佳がいて、好きな人もいて、好きな仕事ができている。これ以上の幸せを望んだら罰が当たりそうだと思わない?」

「思わない!」

 即答した公佳に苦笑いしてしまう。そんな私に公佳が続ける。

「人はどれだけ幸せになってもいいと思う! だって人生一度きりだもの。欲張りになったっていいんだよ。思い立ったが吉日っていうでしょ? 結果的に失敗に終わったとしても、後悔する失敗より後悔しない後悔のほうが私はずっといいと思う」

 公佳らしくてつい笑ってしまった。すると彼女は当然ムッとなってジロリと私を睨んだ。

「私は真面目な話をしているんだけど?」

「ごめん、あまりに公佳らしい考えだなって思って。……ありがとう、しっかりと肝に銘じます」

 クスクスと笑いながら言えば、公佳は「その言葉、信じるからね?」と私に念を押して仕事に戻った。

 私も片づけをしながら心の中で彼女にお礼を言う。
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