月夜に君とナイショの話
遠くでは電車の踏切が鳴り響いている。
焦って携帯で時間を確認した。
42分。
あと1分じゃん!
慌てて切符を買ってホームに走る。
すると後ろで
ガシャン!
さっき聞いた音が聞こえてきた。
「まじかよ、」
そう言いながら財布を取りだした私と同じ制服の男の子がそこにいた。
綺麗な切れ長の二重瞼の中の真っ黒な瞳。
鼻はすぅーと通っていてセンター分けにしているつややかな茶色い髪が頬をそっと撫でていた。
半袖からすらっと伸びる白い腕が華奢に見えてしっかりと骨ばっていてそれが男の子であると証明しているようだった。
いつの間にか目が離せなくなっていた時既に切符を買い終えたその男の子が私の横を通り過ぎた時に微かに感じた甘い風でハッと我に戻った。
電車に乗りこみ、ふと周りを見てさっきの男の子を探してしまった。