本能レベルで愛してる~イケメン幼なじみは私だけに理性がきかない~
最終章
君だけは諦めない
「千帆ちゃん、教科書忘れたの? 俺の見せてあげるからもっとそばにおいで」
「千帆、こんな奴視界に入れるな目が腐る」
「紫音君、幼なじみの過保護もほどほどにしないと、嫌われるよ?」
「その胡散臭い笑顔、鳥肌立つからやめろ」
朝のホームルーム前。今日も両隣は騒がしいまま、季節はあっという間に移り変わり、年も越えて、高校二年の三学期に入った。
本来なら席替えがされるはずなのに、なぜか紫音と三条君の権力でそれは握りつぶされた。
席が変わればようやく平穏な日々を取り戻せると思っていたのに……。
ここ最近、二人の仲の悪さはヒートアップしている。
もちろん、三条君の告白はあのあともう一度しっかり断ったんだけど、『大丈夫、俺は待てる男だし、とにかく普通の友達だと思って接して』と言われた。
なので私も、普通に友達として接することに決めたのだ。待てるって何を?とは思ったけれど。
「そういえば千帆ちゃん、今週土曜日空いてる? うちが展開する新しいレストランができたから、パーティー開くんだけど」
「そんなにパーティーってすぐ開かれるもんなの……?」
紫音もだけど、お金持ちってなんですぐパーティーを開くんだろう……。そんなにしょっちゅう祝うことがあるのかな……。
「オーベルジュだから泊まれるし、ご馳走沢山あるよ」
「おい、千帆を食べ物で釣るな、本当に釣れるから」
「ご、ご馳走……⁉︎」
オーベルジュという単語はよく分からないけど(三条君曰く、宿泊施設のあるレストランということらしい)、三条君のお家が手がけるパーティー料理、食べてみたい……。
最近知った話だけど、三条君の家が経営してる高級レストランは、一年先でも予約が取れないほどの有名店らしい。
この前テレビでも特集されていて、いつか大人になってお金を稼いだらこんなお店に行ってみたいと思っていたんだ。
「仕方ないから、紫音君も来ていいよ。ていうか、多分呼ばれてるはずでしょ? 今回の仕事に、紫音君の家も関わってもらったからね」
「…………」
「え、紫音そうだったの? 紫音も行くなら行きたい!」
「じゃあ決まりだね」
食べ物目当てで行きたい!と思わず反射的に言ってしまったけれど、紫音の目は死んでいる。
思い切り三条君の発言を無視しながら、ぶすっとした表情で遠い場所を眺めている。
そんな紫音を煽るように、三条君はトドメを刺した。
「彼女が行きたがってるところにも行かせてあげられないんだ? 心狭いねー」
ブチッという音が紫音の方から聞こえた気がしたけれど、その直後に先生が教室に入ってきてしまった。
狙ったかのようなタイミングで煽る三条君は、やはりかなりやり手だ……。
反撃するタイミングを失った紫音は、隣で殺気立った視線をガンガンに三条君に送っていた。
……私を間に挟んで。
「楽しみに待ってるよ」
三条君に小声でそう言われて、私は紫音と三条君の間で視線を行ったり来たりさせていた。
「千帆、こんな奴視界に入れるな目が腐る」
「紫音君、幼なじみの過保護もほどほどにしないと、嫌われるよ?」
「その胡散臭い笑顔、鳥肌立つからやめろ」
朝のホームルーム前。今日も両隣は騒がしいまま、季節はあっという間に移り変わり、年も越えて、高校二年の三学期に入った。
本来なら席替えがされるはずなのに、なぜか紫音と三条君の権力でそれは握りつぶされた。
席が変わればようやく平穏な日々を取り戻せると思っていたのに……。
ここ最近、二人の仲の悪さはヒートアップしている。
もちろん、三条君の告白はあのあともう一度しっかり断ったんだけど、『大丈夫、俺は待てる男だし、とにかく普通の友達だと思って接して』と言われた。
なので私も、普通に友達として接することに決めたのだ。待てるって何を?とは思ったけれど。
「そういえば千帆ちゃん、今週土曜日空いてる? うちが展開する新しいレストランができたから、パーティー開くんだけど」
「そんなにパーティーってすぐ開かれるもんなの……?」
紫音もだけど、お金持ちってなんですぐパーティーを開くんだろう……。そんなにしょっちゅう祝うことがあるのかな……。
「オーベルジュだから泊まれるし、ご馳走沢山あるよ」
「おい、千帆を食べ物で釣るな、本当に釣れるから」
「ご、ご馳走……⁉︎」
オーベルジュという単語はよく分からないけど(三条君曰く、宿泊施設のあるレストランということらしい)、三条君のお家が手がけるパーティー料理、食べてみたい……。
最近知った話だけど、三条君の家が経営してる高級レストランは、一年先でも予約が取れないほどの有名店らしい。
この前テレビでも特集されていて、いつか大人になってお金を稼いだらこんなお店に行ってみたいと思っていたんだ。
「仕方ないから、紫音君も来ていいよ。ていうか、多分呼ばれてるはずでしょ? 今回の仕事に、紫音君の家も関わってもらったからね」
「…………」
「え、紫音そうだったの? 紫音も行くなら行きたい!」
「じゃあ決まりだね」
食べ物目当てで行きたい!と思わず反射的に言ってしまったけれど、紫音の目は死んでいる。
思い切り三条君の発言を無視しながら、ぶすっとした表情で遠い場所を眺めている。
そんな紫音を煽るように、三条君はトドメを刺した。
「彼女が行きたがってるところにも行かせてあげられないんだ? 心狭いねー」
ブチッという音が紫音の方から聞こえた気がしたけれど、その直後に先生が教室に入ってきてしまった。
狙ったかのようなタイミングで煽る三条君は、やはりかなりやり手だ……。
反撃するタイミングを失った紫音は、隣で殺気立った視線をガンガンに三条君に送っていた。
……私を間に挟んで。
「楽しみに待ってるよ」
三条君に小声でそう言われて、私は紫音と三条君の間で視線を行ったり来たりさせていた。