本能レベルで愛してる~イケメン幼なじみは私だけに理性がきかない~
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五十人は余裕で入れるレストランホールには、煌びやかなシャンデリアが吊るされていた。
光の粒がキラキラと部屋全体に散りばめられているのかと思うくらい、夢みたいに綺麗で豪華なレストランで、私と紫音はピッタリ隣に並んでいる。
「お、美味しそうぅ……」
「千帆、絶対俺から離れるなよ」
結局紫音は、三条君のパーティーに一緒に連れて来てくれた。恐らく、三条君のあの煽りが効いたんだろう。
今日はグレーのスーツ姿の紫音は、はしゃぐ子供を心配するかのように、隣で落ち着かない様子。
紫音のお母さんに今日もドレスアップをお願いできたお陰で、私もそれなりにこの会場で浮かない格好にはなっている。
紫音のお母さんのセレクトで、今日は背中がザックリ空いた黒いドレス、という大人っぽい格好に。
紫音は出かける時に相当止めてきたけど、最終的に紫音のお母さんにねじ伏せられていた。
ちなみに髪の毛はフルダウンで、ゆるく巻いているだけ。紫音のお母さんは元美容師さんなこともあり、なんでも器用にこなしてしまって本当にすごいなあ……。
それにしても、さっきからやたら視線を感じるのは、紫音がいるせいかな。
「紫音、ちょっと目立たないようにオーラ消してくれない? 視線が気になってご飯食べられないよ!」
「それ俺の台詞なんだけど、思いっきり」
「どゆこと?」
周りを威圧するかのような視線を送り始める紫音。
変なの、と思いながらも、私は目の前にある豪華な料理にテンションマックス。
和牛のローストビーフに、大きな海老のテルミドール、フォアグラが乗った前菜など、どれから食べたらいいのか迷ってしまうくらいのご馳走がある。