官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「ありがとう。貴裕さんも疲れたでしょ」

「まあね。ずっと走り回ってたからな」

 まだ涼しいうちはひぐらし荘の庭で思う存分遊んで、おやつ休憩をした後は、ふたりして浜辺まで散歩に行っていた。

「保育園がお休みの日でもみんな仕事をしているから、貴斗も部屋の中で遊んでることが多いの。今日はたくさんお外遊びができて、貴斗も嬉しかったんだと思う」

 遊びたいさかりの貴斗に我慢させていることを、心苦しく思うこともある。貴斗も幼いながらにわかっているのか、そういう時はおとなしく好きなおもちゃで遊んでくれている。

「貴斗が満足してくれたならよかったよ」

 ぐっすりと眠る貴斗の髪に、貴裕さんが触れる。おでこから後頭部にかけて優しく撫でると、薄っすらと貴斗が微笑んだ気がした。

「よく寝てるね」

「ああ。……可愛いよ、ホント」

 貴裕さんは貴斗の頭に顔を寄せると、そっとキスをした。

「よく目に入れても痛くないって言うけど、本当だな。貴斗になら何されても許せる気がする」

「すっかり親ばかね」

「自分でもびっくりだよ」

 そう言いながらも、貴裕さんの目が、貴斗を愛しいと言っている。まだ会って二日なのに、貴裕さんはもう父親の顔をして眠る貴斗を眺めている。

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