官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
貴裕さんの手が、私の頬に触れる。目尻に浮かんだ涙を拭うと、もう一度優しく頭を撫でてくれた。
「もう美海に、そんな思いはさせたくないんだ」
「でも私、まだ……」
「踏ん切りがつかない?」
うん、と頷くと貴裕さんは悲し気な笑みを見せた。私はまた、彼にひどいことをしている。その笑顔に胸が軋む。
「ゆっくりでいい。俺はずっと待ってるから」
「ありがとう……」
貴裕さんと静かに見つめ合う。貴斗の寝息を聞きながら、胸の中にポッと温かな火が灯る。私が自分のこだわりを捨てて、素直にその胸に飛び込めたら、どんなにいいだろう。
貴裕さんが、私の気持ちが固まるのを待つと言ってくれていることに、感謝せずにはいられなかった。
「こんにちはー、どなたかいらっしゃいませんかー?」
しんみりとした空気を破るように、裏口の方から声がする。
「誰か来たみたい。ちょっと行ってくるね」
「ああ」
呼んでいたのは宅配便業者だった。ひぐらし荘宛ての荷物を受け取ってふたりがいる部屋に戻ると、貴裕さんは貴斗の隣に横になって寝入っていた。
「もう美海に、そんな思いはさせたくないんだ」
「でも私、まだ……」
「踏ん切りがつかない?」
うん、と頷くと貴裕さんは悲し気な笑みを見せた。私はまた、彼にひどいことをしている。その笑顔に胸が軋む。
「ゆっくりでいい。俺はずっと待ってるから」
「ありがとう……」
貴裕さんと静かに見つめ合う。貴斗の寝息を聞きながら、胸の中にポッと温かな火が灯る。私が自分のこだわりを捨てて、素直にその胸に飛び込めたら、どんなにいいだろう。
貴裕さんが、私の気持ちが固まるのを待つと言ってくれていることに、感謝せずにはいられなかった。
「こんにちはー、どなたかいらっしゃいませんかー?」
しんみりとした空気を破るように、裏口の方から声がする。
「誰か来たみたい。ちょっと行ってくるね」
「ああ」
呼んでいたのは宅配便業者だった。ひぐらし荘宛ての荷物を受け取ってふたりがいる部屋に戻ると、貴裕さんは貴斗の隣に横になって寝入っていた。