官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

 夕方、みんなで夕食の準備をしていると、雄ちゃんが帰って来た。

「あれ、雄ちゃん意外に早かったね」

 薫さんと会う日は夕食まで一緒に食べて帰って来ることが多いのに。まだ明るいうちに帰って来るなんて珍しい。

「追い出された」

 ぶすっとした顔で雄ちゃんが言う。

「ケンカでもしたの?」

「いや、研修の報告書を書くから今日はもう帰れって。だったら仕事してる間、柚子のこと見てやるから泊まるって言ったら、大丈夫だからとっとと帰れって言われた」

「おばあちゃん達が柚子ちゃんのこと見てくれるからじゃないの?」

 薫さんは実家の敷地内にある離れに、柚子ちゃんとふたりで住んでいる。柚子ちゃんもしょっちゅう本家に泊まりに行ってるらしい。

「おじさんとおばさんは、明日まで法事で本土に行ってるんだよ」

「おまえが節操なく泊まるなんて言うからだよ。けじめはつけときたいんだろ。薫さん、真面目だから」

「なんだかんだ言って、雄介は薫さんちに泊めてもらったことないもんね」

 素子さんがすかさず言うと、雄ちゃんは「うるせえよ」と顔をしかめた。

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