官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「あらー、雄介捕まっちゃったわね」

「みんな飲ませ上手だもんね。雄ちゃん、潰れちゃうかも……」

 素子さんも、これじゃもう雄介の手伝いは期待できないわねと言ってすっかり諦めている。私は私で、雄ちゃん、明日は薫さんに会いに行かないのかな、ちゃんと起きれるかな、なんて余計な心配をしてしまう。


 お客さんに呼ばれて飲み物を出したり、早くに食事を終えた人のお皿を下げたりしていたら、二階に続く階段から貴斗を抱いた貴裕さんが降りて来た。

「あ、貴裕さん。ずっと見てもらってごめんね。貴斗いい子にしてた?」

 ふたりしてお昼寝から起きた後、貴斗と貴裕さんは藤の間に行って遊んでいた。部屋でテレビを見たり、貴斗のおもちゃで遊んだりしていたらしい。

「たかといいこよ! ねー?」

 貴斗は満開の笑顔で、貴裕さんを見上げている。貴裕さんも「ああ、すっごくいい子だった」と言いながら、貴斗の頭を撫でている。貴斗は、すっかり貴裕さんに懐いたみたいだ。

「でも途中でちょっとママが恋しくなったかな」

 ふふと笑いをこぼす貴裕さんに、たかとは「ちがうもん!」とほっぺを膨らませた。ムキになったせいか、ほんのりと赤くなっている。

「え、大丈夫だったの?」

 午後はチェックイン業務が忙しくて、ふたりの様子を見に行けなかった。

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