官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「ごめんね、お仕事の邪魔しちゃったかな」

「いや、メールのチェックをしてただけだから」

 開いていたPCをぱたんと閉じる。

「まあ座りなよ」

「ありがとう」

 お礼を言って、私も腰を下ろした。 

「ふたりともすぐに解放してくれた?」

「ああ、みんなもう部屋に帰ったよ。明日も朝早いからって言って」

 ということは、雄ちゃんもお客さん達と船釣りに行くってことだ。薫さんと仲直りしなくていいのかな……って思ったけれど、私が口出しすることでもないし、あまりお節介なのもよくないなと思い直す。

「そうなんだ。みんなすごく飲むから、早めに解放されてよかったね」

 まともにつき合っていたら、貴裕さんまで飲まされすぎてしまう。心配が杞憂に終わって良かった。そう思ったのに、貴裕さんは何か言いたげな顔をしている。

「どうかした?」

「美海は知らないだろうけど、俺だって結構飲めるんだ。簡単に潰されたりしないよ」

「そうなの?」

 自分からそう言うってことは、貴裕さんもそこそこ飲めるんだろう。ふたりでお酒を飲んだ機会は一度きり、しかもその時は食事がメインだったから全然知らなかった。

 みんなに対抗心でも燃やしたのだろうか。貴裕さんの方からそんなことを言うなんてちょっと意外な気がして。思わず吹き出してしまった。

「なんだよ」

「なんでも」

「いや、美海がなんか勘違いしてるっぽいから」

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