官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「それならどうして」

「それは……」

 上手く答えられずにいると、貴裕さんはなぜかフッと微笑んだ。

「まあいいよ。そんなこと気にならなくなるくらい俺が可愛がるから。俺に大事にされてるって実感して、疑う余地がなくなるくらい、美海のことを愛してやる」

「……ちょっと、やめて貴裕さん」

 貴裕さんって、こんなふうにストレートな物言いをする人だった? 恥ずかしくて、まともに顔が見られない。

「本心だよ。今すぐこの胸に飛び込んで来てくれたら、他のことなんて考える余裕がないくらい愛してやるのに」

 右手を取られ、手の甲にキスをする。驚いて手を引こうとすると、力強く抱き寄せられた。

「離して、貴裕さん」

「言ったろ、絶対に離さない。俺はその覚悟でここに来たんだ」

 密着した体が熱い。

「美海」

 名前を呼ばれて顔を上げると、怖いほど真剣な瞳とぶつかった。私がハッと息を呑むと、貴裕さんが不意に視線を逸らした。

「……悪い、待つって言ったくせに」

 腕の力を抜き、私を解放する。「悪かった」と言って貴裕さんはそっと私の頭を撫でた。

「ちゃんと美海の気持ちが決まるまで待つから」

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