官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
貴裕さん達が港に戻って来るのは、お昼過ぎの予定だ。それまで、港近くの浜辺で貴斗とお弁当を食べながら待つことにした。
貴裕さん達が船に乗っているから、帰って来るのを見に行こうと言うと、貴斗は大喜びで着いてきた。
「貴斗大丈夫? 暑くない?」
「うん、たかとへいきよ」
貴斗はそう言うけれど、今日は朝から気温が高い。長く外にいるのはまだ小さい貴斗には厳しいような気がする。
「貴斗、でも暑さで頭痛い痛いになったら大変だから、お弁当を食べたら車の中で少し休もうね。そして船が見えたら港まで行ってみようか」
「はーい」
右手を高く上げて、元気よく答えてくれる。
お休みの日にお出かけすることも、ふたりで外でお弁当を食べることも久しぶりで、貴斗は朝からテンションが高い。しかも貴裕さんを迎えに行くと聞いて、部屋中をピョンピョン飛び回っていた。
「貴斗、お茶もたくさん飲んでね」
「たかとむぎちゃすきよ」
お気に入りのアニメキャラクターの水筒を両手で抱え、一生懸命麦茶をストローから飲んでいる。子供の仕草って、一つひとつが可愛らしくてついつい見入ってしまう。
「ママ、たかとおなかすいたよ」
「あっ、ごめん。じゃあ食べようか」
「わあっ!」
水筒とお揃いのキャラクターがプリントされたお弁当の蓋を開けると、貴斗が歓声を上げた。