官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「わかんない」

「そっかぁ」

 説明しようとすると、案外難しい。どういえば二歳の貴斗に理解してもらえるんだろう。

 貴斗はエビのフリッターを頬張ると、ほっぺたを膨らませてもぐもぐしている。一生懸命食べる姿が可愛らしくて、私は貴斗の頭を撫でた。

「ママもたべよ? はい、あーんちて」

 考え事ばかりしてなかなかお弁当に手を付けようとしない私を気遣ってくれたんだろう。貴斗は自分のフォークに唐揚げを突きさすと、私の口の前に持って来てくれた。

「ありがとう」

 ぱくっと一口で口に入れて、貴斗みたいに口をもぐもぐさせる。

「ママももぐもぐしてるね」

「うん」

「ママとたかとおそろいね。おいちいねぇ」

「すっごく美味しいね。貴斗と一緒に食べるともっともっと美味しいよ」

 私が言うと、貴斗は照れたような、嬉しくてたまらないようななんともいえない笑顔を見せてくれた。

 貴斗と過ごす一分一秒が愛おしい。貴斗の表情、仕草、全てを余すところなく映像に残しておきたいほど、貴斗と過ごす一瞬一瞬が大切だと思える。

 それを私が独り占めするのは、やっぱり間違いなんじゃないんだろうか。

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