官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「それで、あんた達の勝負って結局どうなったの?」
みんなお酒が結構入って、食事も一段落した頃、素子さんの発言をきっかけに話題は貴裕さんと雄ちゃんの釣り勝負の話になった。
貴裕さんが勝ったら云々なんてことは、雄ちゃんが勝手に言い出したことだもの、もちろん私は本気にしていない。でも、単純に勝負の結果は気になった。
「……完敗だよ、俺の」
「へえっ?」
意外な結果に驚いて雄ちゃんを見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「今日はたまたまだよ。調子が悪かっただけ。……時田さんは本気だったけどな」
悔しさを滲ませた顔で、雄ちゃんが言う。
「そりゃあ、美海のことがかかってますから」
涼しい顔で、貴裕さんが言う。結果は貴裕さん十三匹、雄ちゃん四匹で貴裕さんの圧勝だったという。
「くっそ。都会育ちのお坊ちゃんだからどうせ船酔いして終わりだろうって思ってたのに」
「雄ちゃんが甘く見るから罰が当たったのよ。だいたい雄ちゃんおかしいよ。私のこと勝手にやるとか言って、賭けの商品みたいにして」
そのことは、どうしても納得いかない。だいたいこれは、私と貴裕さんの問題なのに。
「そう言えば美海も気持ちが固まるかと思ったんだよ」
「なっ……」
「余計なお世話なのは重々承知だよ。でも俺は美海にはちゃんと幸せになってもらいたいんだよ」