官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「そうねぇ、雄介はやることなすことちょっと極端すぎるけど、これでも雄介なりに美海ちゃんの幸せを願ってるのよね」

「うるせえな。どうせ俺は極端だよ」

 素子さんがうんうん頷くのを見て、雄ちゃんがまた面白くなさそうな顔をする。

「だから、私に免じて許してあげて」と素子さんが私に向かってウィンクをする。

「ご心配には及びませんよ」

 それまで黙って話を聞いていた貴裕さんが、急に口を挟んだ。隣に座っていた貴斗を膝に載せ、話の輪の中に入る。

「美海も貴斗もちゃんと幸せにします。美海の気持ちが固まるまで、俺は何度でもここに足を運びますし、貴斗にも不自由はさせません」

 きっぱりと言い放った貴裕さんを見て、一瞬その場がシンとなった。貴裕さんの深く硬い決意を聞いて、胸が熱くなる。雄ちゃんなんてあんぐりと口を開けて、顔を赤らめている。

「……時田さん、あんたカッコいいな」

「さあどうでしょう。諦めが悪いだけかもしれませんよ」

 貴裕さんに抱かれたままキョトンとしている貴斗の頬を撫でると、貴裕さんはにっこりと微笑んだ。

「でも、この三年間つらい思いをさせた分、これからの時間はふたりのために生きたいんです」

 撫でられて、貴斗は気持ちがよさそうに目を細めている。ふたりは、誰がどう見ても本物の親子だ。この数日ですっかり距離が縮まったように感じる。

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