官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
DAY5 揺るがない気持ち
スマホのアラームの音で目が覚めた。
貴斗が起きてしまわないよう、慌ててアラームをオフにする。私の体にはタオルケットが掛けられていた。
「……貴裕さん?」
隣で寝ていたはずの貴裕さんがいない。和室を出ると、台所から何やら物音がする。ガラスがはめ込まれた引き戸を開けると、貴裕さんがガス台の前に立っていた。
「美海。起きたのか」
「うん、貴裕さん何してるの?」
「ごめん、勝手に使わせてもらってる」
ガス台に近づくと、貴裕さんはフライパンを握っていて、綺麗に焼けた目玉焼きが二つと、不格好に黄身が潰れてしまったものがひとつ、じゅうじゅうと音を立てていた。
「貴裕さん料理できたの?」
「できるといいたいところだけど、これが精一杯だった。あ、米は炊いた」
お皿にはところどころ焦げたウインナーも入っている。冷蔵庫にある在り合わせのもので、朝食を作ってくれたようだ。
「ごめんなさい。貴裕さんもあまり寝てないのに」
「いや、いいんだ。もっと色々作れたらよかったんだけど……」
「ううん、十分よ。でも、貴斗はまだ本調子じゃないだろうし、もうちょっと消化のいいものの方がいいかも」