官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「貴斗、具合は? 大丈夫なのか?」

「あ、パパがおうちにいる」

 貴裕さんの心配をよそに、貴斗はにっこりと微笑んだ。機嫌もいいし、おでこを触ってみた感じ、熱がぶり返している様子もない。貴裕さんも胸を撫で下ろしているのがわかる。

「ママとパパ、あさごはん?」

 私と貴裕さんの間にぺたんと座り、貴斗がテーブルの中を覗き込んだ。

「貴斗お腹空いてる?」

「たかとおなかすいたー」

「何が食べたい? おかゆ作ろうか?」

「ふりかけある?」

 やっぱりふりかけは外せないのだ。貴裕さんも吹き出していた。

 貴斗が熱を測っている間に、貴裕さんが炊いておいてくれたごはんでおかゆを作り、貴斗が最近気に入ってるキャラクターのふりかけをひとつ渡した。

「たかとのおかずは?」

「えっ、おかずも食べれるの?」

「たかともたまごたべたいなー」

 ラップをかけて隅によけておいた目玉焼きとウインナーを、もの欲しそうな目で見ている。目玉焼きは食べやすいように一口サイズに切って、サッとお醤油を垂らして貴斗に渡した。

「いただきます」

「召し上がれ。目玉焼きとウインナーはパパが作ってくれたのよ」

「ほんとう?」

 貴裕さんの方を見て、貴斗は目を丸くしている。

「すごいね、パパおりょうりじょうずね」

 二歳児から褒められても、嬉しいことに変わりはないらしい。貴裕さんは照れくさそうに微笑むと、パクパクとご飯を口に運ぶ貴斗を可愛くてたまらないという顔で眺めていた。

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