官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「まだ話してないって、時田さんが帰るの明後日の便よね?」

「うん、午前中の便だって聞いてる」

 一週間もあれば、仕事があるとはいえ、いくらでも話はできる。私もそう思っていたし、貴裕さんも同じように考えていたのだろう。

 でも実際は、毎日色んなことがあったし、貴斗が一緒だったということもあり、ゆっくり腰を据えて話をする時間はなかった。

「貴裕さんは何かあるごとにきちんと気持ちを伝えてくれたの。この一週間、私なりに考えもした」

「それで、結論は出たの?」

「……うん」

 貴裕さんの気持ちは、もう疑いようもない。

 どうしても私と貴斗を取り戻したくて、必死の思いでこの一週間の休みをもぎ取ったのだと思うし、一緒に過ごす間、どんなに貴斗と、そして私のことが大切なのか言葉で態度で示してくれた。

 乗り越えないといけないことは、きっとたくさんある。でも貴裕さんなら私がこれまでひとりで抱えてきた不安や心配もきっと受け止めてくれる。そしてわたしも、彼のことを支えていきたいと思っている。

「そう」

 私の気持ちを話すと、素子さんは満足そうに微笑んだ。

「それなら、美海ちゃんに明日はお休みをあげるわ。これからのこと、ちゃんと二人で話してらっしゃい。ね、智雄さん」

「おっ、……おう」

 有無を言わせない顔で素子さんが言うと、圧倒されたのか智雄さんは反射的に頷いていた。


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