官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
DAY6 これからの話をしよう
翌日は、澄み渡るような青天だった。海から吹く風もどこか爽やかで、微かに秋の気配を感じる。からっとした風を頬で受けて、もう夏も終わるんだなと感じた。
すっかり元気になった貴斗を保育園に送り届けた後、私はひぐらし荘を訪れた。
「それで、今日はどうするの?」
「せっかく休みをあげたのに」と素子さんには言われたけれど、じっとしているのも落ち着かなくて、私は朝食の後片付けを手伝った。素子さんと並んで食器を洗っていると、今日の予定を尋ねられた。
「島に来たのに、貴裕さん釣りくらいしかやってないでしょう? 鈴島に連れて行こうかと思って」
「ああ、いいかもしれないわね」
鈴島は、私が住む島の南側に浮かぶ小島だ。春先から秋にかけて、潮が引いた時に砂州が現れて島から歩いて渡ることができる。この辺り唯一の観光スポットといっていい。
明日東京に戻ってしまえば、貴裕さんはまた慌ただしい日常が始まる。最後の日くらい、ゆっくりと海を眺めながら過ごすのもいいんじゃないかと思ったのだ。
「二人でゆっくりしてきなさい」
素子さんはそう言って快く送り出してくれた。