官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 最後の夜は、貴斗と三人で私達の家で過ごすことにした。

「パパ、きょうたかとのうちにおとまりするの?」

「そうだよ。貴斗とママと三人で一緒に寝ような」

「やった~!」

 バンザイをして喜ぶ貴斗を見て、貴裕さんのことを受け入れてくれて嬉しい反面、複雑な気持ちになった。

 明日になれば、貴裕さんは東京へ帰る。もちろん会えるのはこれが最後ではないけれど、ちゃんと貴斗はわかってくれるだろうか。

 ずっと自分にはいなくて、ようやく現れたパパがまた目の前からいなくなってしまったら……。想像するだけで胸が痛いけれど、これもまた私達が乗り越えなければならないことのひとつだ。


 貴斗は貴裕さんにお風呂に入れてもらって、上機嫌で上がって来た。

「パパ、おふろにはいったらおちゃのむよ」

「そうか、水分を取るのは大事だもんな」

「そう、すいぶんだいじよ! れいぞうこからとって」

 貴斗は、この家のことは全部、自分が貴裕さんに教えなければいけないとでも思っているようだ。得意気に、時にはちょっと偉そうに命令する姿がおかしくて、そんなふたりの姿を微笑ましく見ていた。

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