官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 和室に布団を並べ、親子三人川の字になって横になった。

 布団に入った後も、しばらくは「パパ、パパ」と嬉しそうにはしゃいでいた貴斗だったけれど、気がついた時にはすうっと眠りに落ちていた。

「さすがに疲れたみたいだな」

「あんなにはしゃぐなんて、よっぽど嬉しかったのね」

 安らかな寝息を立てる貴斗の髪を、貴裕さんがそっと撫でる。言葉にしなくても、彼が貴斗を愛しいと思っているのがわかる。

「何を笑ってるの」

 知らず知らずのうちに、私は笑みを浮かべていたらしい。彼に言われて初めて気がついた。

「だって、幸せで」

 貴裕さんが手を伸ばし、今度は私の髪を撫でる。その手にそっと触れると、彼は私の指に指を絡めた。

「美海、不安なことはない?」

 貴裕さんが握った手にキュッと力を込める。そのまま引き寄せ、そっと指先にキスをした

「不安は、ないと言ったら嘘になるけど……」

「うまくいかない時もあるかもしれない。でも安心して、何があっても未来永劫俺たちは一緒だ」

 私を見て、柔らかな笑みをくれる。私の強張った心を溶かしてくれる。

「愛してる、美海」

 ストレートな言葉に胸が熱くなる。

「……私も愛してる、貴裕さん」

 ようやく素直な気持ちで、貴裕さんと向き合うことができた。

 満ち足りた気持ちで、その日私は眠りに落ちた。

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