官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
あなただから

 貴裕さんと再会してから、五カ月が過ぎた。

 季節は廻り、十二月。私と貴斗が住む諏訪島にも冬が訪れた。

 東京へ戻ってからも、貴裕さんは忙しい合間を縫って、度々私と貴斗の元に会いに来てくれた。でも、それだけじゃない。

『貴斗が俺を忘れてしまったら悲しいからね』

 なんてことを言って、貴裕さんは毎日欠かさず電話もくれた。

 その間に、貴斗は三歳の誕生日を迎えた。当日には貴裕さんから大きなプレゼントが届いて、貴斗は大興奮だった。

『パパ、プレゼントありがとう~』

『ああ、一緒に祝ってやれなくてごめんな』

 その日の夜の電話で、貴裕さんは貴斗にハッピーバースデーを歌ってくれた。

 貴裕さんはまだ一度も貴斗の誕生日を一緒に祝ったことがない。今年こそはと意気込んでいたけれ
ど、直前になって視察の予定が入り、断念せざるを得なくなったのだ。あの時は、貴斗も貴裕さんも残念そうだった。もちろん私も。

 一緒に住んでいれば、多少日にちがずれても一緒にお祝いができたのに。貴斗のためにも、一日も早く東京で暮らしたい。でも、私達には、本格的に移り住む前に、東京に行ってどうしてもやらなくてはいけないことがあった。

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