官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「あの、私達ならどこかで適当に時間潰してるんで平気ですから。貴斗おいで。外でパパのお仕事が終わるの待っていよう」

 手を取ろうとすると、貴斗はイヤイヤと首を振った。

「やだよ。ぼくパパと帰る~」

「貴斗、ムリを言っちゃダメよ」

「須崎さん、ご心配なく。この日のために社長は張り切って休日出勤なさり、業務に滞りはありません。少し疲労が溜まってらっしゃるようですが」

「えっ?」

 そうなの?

「余計なこと言うなよ、菅野」

 貴裕さんは、照れた様子を見せた後、菅野さんを一睨みした。

「俺だって、ふたりに会えるのを楽しみにしてたんだよ。さ、帰ろう。後は頼んだぞ、菅野」

「どうぞごゆっくり」

 にっこりと微笑む菅野さんに見送られ、会社を後にした。

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