官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「なぁに、パパ」

「貴斗聞いて。パパのおうちの中は好きなだけ探検してもいいけど、このお部屋は勝手に入ったらダメだよ」

「どうして?」

「パパのお仕事の道具がいっぱい入ってるんだ。もしひとつでもなくなったら、パパがとっても困る」

「パパお仕事できなくなるの?」

 どんな想像をしたんだか、貴斗の顔がくしゃっと歪む。

「そうだよ、だから約束して。このお部屋だけは入らないでね」

 貴斗はしばらく考え込むような顔をした後、「わかった!」と返事をした。

「ありがとう貴斗」

「うん、ぼくパパを困らせたくないもん!」

 貴裕さんに頭を撫でられて、ニコニコしている。

 貴裕さんのこういうところ、すごいなって思うのだ。小さい子だからと適当なことを言ったり、何かされてから怒るのではなく、貴裕さんは貴斗にわかるようにちゃんと話をしてくれた。

 貴斗のことをちゃんと対等に見て話をしてくれているってこと、貴斗も感じているんだと思う。

 貴斗はちゃんと約束を守り、貴裕さんの仕事部屋には絶対に入らなかった。

< 189 / 226 >

この作品をシェア

pagetop