官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 突然話しかけられ、貴斗は声も出さずに貴裕さんを見つめている。

「ご、ごめんなさい貴裕さん、貴斗人見知りで――」

「おいで、俺が抱っこしてあげよう」

「だっこ?」

「そうだよ。おいで」

 きょとんとしている貴斗に、貴裕さんが手を伸ばす。驚いたことに、普段慣れていない人に抱っこをされると嫌がって大泣きする貴斗が、大人しく貴裕さんの腕に抱かれた。

「……可愛いね、貴斗」

「うん、たかとかわいいでしょ! おばちゃんもおじちゃんもみーんないうよ」

 可愛いなんて言われて嬉しかったのか、貴斗が無邪気な返事を返す。

「そっか……、貴斗はみんなに可愛がられてるんだな」

 貴裕さんは、愛おし気に貴斗の頭を撫でている。彼の瞳が薄っすらと潤んでいるのがわかった。

「それなのに、俺は……」

 そう言って、貴裕さんは貴斗をギュッと抱きしめた。彼が心の中で自分のことを責めているように見えて、私は思わずふたりに駆け寄った。

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