官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「これからは未来だけを向いて行こうと貴裕さんと決めましたから」

 一緒にいられなかった分、これから濃密な時間を過ごせばいい。たとえまたすれ違いそうになったとしても、ちゃんと想いを言葉にしてわかり合う努力をすれば、きっと大丈夫。そう、貴裕さんと話したのだ。

「……そう、美海さんは強いわね」

「強くならざるを得なかったんです、貴斗のために」

 でも私は、今の私が好きだと胸を張って言える。

「いい方をお迎えしたわね、貴裕」

「はい、自慢の妻と息子です」

「……あなた達と家族になれて、私も嬉しいわ」

 テーブルに身を乗り出し、お母さまが私の手を両手でキュッと握る。

「貴裕のことよろしくね、美海さん」

「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

 お母様の温かい手を私も握り返した。

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