官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 角を曲がれば、ラパンがあった場所だ。視線を向け、息を呑んだ。

 店先に並ぶグリーンと花苗。ウッド調の壁面に掛かっている陶製の看板に『フラワーショップ・フルール』と書いてある。

「また花屋になったんだな」

「……入ってみてもいい?」

「もちろん」

 厚い木製のドアをそっと押すと、花々の甘い匂いが私を包んだ。懐かしさで胸がいっぱいになる。

 店の中は海外から取り寄せたような可愛らしい小物で飾られていてとてもセンスがいい。花やグリーンの種類も多く、花苗や鉢植えだけでなく、ガーデニンググッズのコーナーも充実している。長く置かれているようなグリーンもよく世話されていて、元気なのが一目でわかった。

「いい店だわ」

 店内をゆっくりと見ていると、店のよく目立つ場所にワンコインで買えるプチブーケが並んでいた。一見難しそうな配色だけれど、バランスよく花が配置されていて、サイズがこぶりなこともあって可愛らしい。

「あれ、このアレンジどこかで……」

 よく似たアレンジを、いつかどこかで見たことがあるような気がした。

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