官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「ごめんなさい。眠いみたいであまり機嫌が良くなくて」

「子供ってそんなものですよ。それにしても懐かしいなあ。うちの子達もそんな頃あったなあ」

「瑞季さんお子さんは?」

「ふたりとももう小学生ですよ。ランドセル背負って走り回ってます」

 ラパンに居た頃は、確かふたりともまだ保育園に通っていた。

「美海、積もる話もあるだろ。貴斗が眠そうだから、先に車に戻ってるよ」

「えっ、いいの?」
 
 確かに貴斗は眠い目を擦っていて、限界が近そうだ。連日のおでかけで、疲れているのかもしれな い。このまま車に乗れば、こてんと寝てしまうだろう。

「ああ、ごゆっくり。それじゃ失礼します」

 貴裕さんはにこやかな笑顔を残して、去って行った。

「美海さんのご主人、素敵な人ですね。……でも、彼があの時の?」

 四年前妊娠が発覚した時、私が『相手には妊娠したことは言えない』と言ったことを、瑞季さんは覚えているはずだ。初めから順を追って話をすることにした。

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