官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 部屋に入るなり、後ろから抱き竦められた。

「美海」

 湿った声で名前を呼ばれ、吐息が耳に掛かる。顎を引き寄せられ、噛みつくようなキスをされた。

「苦し……貴裕さん」

 キスの合間に漏らした言葉は、彼を煽っただけだった。そのままベッドにもつれ込み、息つく暇もなく唇を貪られる。いつの間にか入り込んだ舌が、歯列をなぞり抉じ開け、私の舌を絡めとった。

 口内で深く繋がり、徐々に快感が呼び寄せられる。溶けそうな脳内と多少の息苦しさで意識が朦朧とした頃、貴裕さんの唇が音を立てて離れた。

 べッドの上から見上げた彼の目は、荒々しい熱を帯びていた。

 貴裕さんはシュッと音を立ててネクタイを引き抜くと、ベッドの下に投げ捨てた。シャツのボタンを外し、それもまた脱ぎ捨てる。そのまま私の服と下着を一緒にたくし上げると、私の肌に噛みついた。

 頬に首筋に、私の肌全てをなぞるように彼が唇を這わす。やがてお互いの隙間を感じられなくなるほど溶け合って、ようやくふたりひとつになった。

「美海……」

 止まらない律動が私を追い詰める。意識が弾け飛びそうになる寸前に、彼より先に言葉を吐き出した。

「貴裕さん……愛してる」

 優しい彼がいつも先回りして、私にくれる言葉だ。今日くらいは、私から彼に言いたかった。

 一瞬驚いて目を見開いた彼が、私を見つめ破顔した。

「俺も……、愛してるよ美海」

 その顔を瞳に焼き付けて私はそのまま意識を手放した。

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