官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「うわ、ママきれい!」
純白のウエディングドレスに身を包んだ私を見て、貴斗が飛びついてきた。
あれから半年が経ち、私と貴裕さんはようやく結婚式の日を迎えた。今日ばかりは貴斗もおめかしをして、ご機嫌で私に纏わりついている。
「いいだろう、このドレス。パパが選んだんだ」
「うん、ママかわいい。おひめさまみたい」
生地に透かし模様の入ったマーメイドラインの上品なウェディングドレスは、二日間悩んだ末、貴裕さんが決めてくれた。私もとても気に入っている。
「いいなー、パパ。ママとけっこんできて。ぼくもママとけっこんしたい!」
貴斗の爆弾発言に、貴裕さんが一瞬ぎょっとする。しかし、すぐに余裕の笑みを浮かべたかと思うと、ほんの少し意地悪な顔をして貴斗を抱き上げた。
「ごめんな貴斗。パパ貴斗のこと大好きだけど、そのお願いだけは聞いてやれない」
「えーっ、なんで?」
ぷうっとほっぺたを膨らませる貴斗を見て、貴裕さんが笑う。
「ママはパパのお嫁さんなんだ。もう神様に誓ったから取り消せない。だから貴斗は他で見つけてくれ」
「えーっ、パパのいじわる!」
むくれてバタバタと暴れる貴斗を、貴裕さんが笑いながらあやしている。
「ふたりともいつまでもふざけてないで。さあ写真撮るわよ」
「ぼくママのとなりがいい」
「……仕方がないな。これだけは貴斗に譲ってやるよ」
貴斗を間に挟んで、三人でカメラの前に立つ。こうやって家族の思い出を切り取って、たまには振り返って家族みんなで「こんなこともあったね」と笑い合っていたい。
過去の私が想像もできなかった未来がここにある。
ひょっとしたら、登場人物が増えることだってあるかもしれない。
私達の未来は未知数。
その度に思い出が増えて、私達のアルバムはきっと、何冊にもなるんだろう。
完