官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「これ以上すると、寝かせられなくなるから」

 誘惑に打ち勝った俺を褒めて欲しい。

 フットライトだけの薄暗い中でも美海の顔が赤らんだのがわかる。確かめるように指先で頬に触れると、案の定熱を持っていた。

 このまま触れていると、いよいよ離せなくなる。後ろ髪を引かれながら体を離した。

「こんな時間まで付き合わせてごめん。俺、美海と話すのが好きなんだ」

「……それは、私もそうだから」

 そう言って微笑む美海に、また愛しさが募る。

 俺達は会えない時間があまりにも長かった。その分これからたくさん話して、一緒の時間を過ごして、飽きるほど傍にいたい。いや、飽きるなんてこと、一生ないと思うけれど。

「もう寝なきゃね」

 ソファーから立ち上がり、美海がカーテンに手を伸ばす。そのまま閉めるのかと思いきや、美海は俺の方を振り返った。

「貴裕さん、見て!」

「……あ!」

 美海と二人で見上げた夜空には、たった一つだけ小さな星が浮かんでいた。

「天の川じゃなかったけど」

「ちゃんと見えたね」

 明日貴斗に教えてあげよう。きっと織姫と彦星はちゃんと会えたよって。だからもう、悲しい顔はしなくていい。


 『誰よりも愛しい美海と貴斗とずっと一緒にいられますように』

 短冊を書く代わりに夜空に浮かぶ星に祈って、俺はもう一度美海の肩を抱き寄せた。


Fin
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