官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
「ありがとうございました」

「こちらこそ。……きっとまた来ると思います」

「はい、お待ちしております!」

 直近に、また誰かに花を贈る機会があるのだろうか。そう言ってくれるということは、この店を気に入ってくれたということだろう。胸の中にじんわりとした喜びが広がっていく。


 車が見えなくなるまで見送って、店に戻る。食器を片付けようとテーブルへ向かうと、カップの中のハーブティーも、添えていたローズマリーのクッキーもすっかり無くなっていた。どうやら気に入ってもらえたらしい。

「さ、片付けて私も帰ろう」

 食器を片付けながら、彼の言葉が脳裏に甦る。

『……きっとまた来ると思います』

 胸の中にポッと温かな火が灯ったようだった。

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